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新NISAの高配当株投資は、「10%課税される米国株」より「配当金非課税国のADR銘柄」が税制面で有利
ADR(米国預託証券)は、米国の投資家が海外企業に投資するために発達した仕組みです。
そのためADR銘柄には、投資家の人気が高い、国際的な大企業の高配当株が多いです。
配当金に対する課税制度は母国で決められており、米国税は課税されません。
国別の配当金課税率は以下のとおりです。
| 配当金課税率 | 国名 |
| 非課税(0%) | イギリス |
| オーストラリア | |
| インド | |
| ベトナム | |
| ブラジル | |
| シンガポール | |
| 10% | 米国 |
| 中国 | |
| 15% | カナダ |
| メキシコ | |
| オランダ | |
| 20.315%(新NISAでは非課税) | 日本 |
| 21% | 台湾 |
| 25% | アイルランド |
| 35% | スイス |
新NISAで高配当株を購入する際によく聞くのが、日本株の配当金は非課税だけど、米国株の配当金は課税されるという事。
新NISAはあくまで日本の非課税制度なので、投資先企業の母国における税金を非課税にすることはできないのです。
なので、米国で10%課税されてしまう米国高配当株より、新NISAでは非課税となる日本高配当株の方が、従来に比べると税金面で有利になりました。
一方、母国によってはNISAとか関係なく、もともと配当金非課税の国があります。
上記の表のとおり、イギリス、オーストラリア、インド、ベトナム、ブラジル、シンガポールは配当金非課税です。
つまり、これらの国のADR銘柄を新NISAで購入すれば、日本株のような非課税メリットが受けられます。
JEPQやQYLD等の米国超高配当ETFが軒並み除外された新NISAで高配当を狙うためには、非課税の高配当ADR銘柄は有力な選択肢ですね。
英国・豪州の高配当ADR銘柄の利回り比較
比較するADR銘柄は、配当金非課税であるイギリスとオーストラリアの中から配当利回りの高いものを選定しました。
2025年8月時点の配当利回りは表のとおりです。
| コード | 銘柄名(会社概要) | 配当利回り | セクター |
| BTI | ブリティッシュ・ アメリカン・タバコ(世界的なタバコ会社) | 6.72% | 生活必需品 |
| BP | BP (石油メジャー6社中の1社) | 6.34% | エネルギー |
| HSBC | HSBCホールディングス (世界最大級のメガバンク) | 5.64% | 金融 |
| VOD | ボーダフォン・グループ (多国籍携帯電話事業会社) | 5.32% | 電気通信サービス |
| NGG | ナショナル・グリッド (英米の送電・ガス供給企業) | 4.54% | 公益事業 |
| GSK | グラクソ・ | 4.53% | ヘルスケア |
| BHP | BHPビリトン (世界最大の鉱業会社) | 4.41% | 素材 |
| DEO | ディアジオ | 4.05% | 生活必需品 |
| UL | ユニリーバ (世界最大級の家庭用品企業) | 3.36% | 生活必需品 |
BTIの高利回りを支えるタバコ産業の「独占性」
BTIは高配当ADR銘柄の中でも、特に継続して配当利回りが高く、人気がある銘柄です。
タバコ産業は新規参入が難しい分野であり、BTIはブランド力を活かした「独占性」を有しています。
一方で、ハイテク企業とは異なり成熟企業であることから、独占性によって得られた収益は積極的に配当金として株主還元されます。
日本株でもJTが高配当で知られていますね。
健康志向でタバコの需要は減少していると思ったのですが、それは先進国の現象のようで、豊かになってきた新興国(アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ等)では増加傾向であり、これらの国々は人口も増加傾向にあることから、世界的に見るとタバコ需要は継続するのかもしれませんね。
