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ニッセイS米国株式500|eMAXIS Slimや楽天より安い信託報酬

2024年4月4日

ニッセイS米国株式500|eMAXIS Slimや楽天より安い信託報酬

ニッセイ・S米国株式500インデックスファンドが誕生

新NISA開始直前の2023年11月13日、「ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド」が新規設定されました。

2023年は、新NISA開始前年という事もあって、魅力ある投資信託の新規設定が相次ぎました。

特に人気のあるS&P500インデックスファンドは、信託報酬の値下げ競争が過熱しました。

その競争も、楽天・S&P500が0.077%という低コストで最安値を更新し、これに対抗するファンドが無かったので、競争もここまでかと思われました。

そのような時期に、ニッセイ・S米国株式500が、業界王者eMAXIS Slim S&P500より信託報酬が4割も低い、0.05775%という圧倒的な数字で新規設定されたのです。

ただし、ニッセイ・S米国株式500は、正確にはS&P500インデックスファンドではありません。

ファンド名に「500」という数字があることから、S&P500指数に連動するインデックスファンドのようですが、ドイツの指数算出会社が提供する「ソラクティブGBS米国500指数」に連動するインデックスファンドとのことです。

とはいえ、どちらも「米国市場に上場する銘柄から時価総額上位500銘柄で構成される指数」であり、指数設定(2009年)以降の実績を確認すると、S&P500と同様の値動きを示していました。

「ニッセイ・S米国株式500」と「S&P500投資信託」の比較

ニッセイ・S米国株式500インデックスファンドと、ライバルになりそうなS&P500投資信託を、表のとおり比較してみました。

ファンド信託報酬純資産額
(百万円)
運用年数
eMAXIS Slim
S&P500
0.09372% 4,220,3705年
SBI・V・
S&P500
0.0938%1,530,9774年
はじめてのNISA・
S&P500
0.09372%8,6690年
楽天・S&P5000.077% 152,1990年
ニッセイ・S
米国株式500
0.05775% 4,2260年 

※ 上から運用年数(設定日)順に記載

やはりS&P500投資信託と比較して、ニッセイ・S米国株式500の信託報酬の安さが際立っています。

信託報酬の値下げ競争は、楽天・S&P500の登場で決着がついたかと思っていましたが、「米国・時価総額加重平均・上位500銘柄」という前提は変えずに指数を工夫すると、まだまだコスト競争の余地が残っているということが良くわかりました。

現状は「つみたて投信枠」では購入できず、「成長投資枠」限定なのが弱点

新NISAで長期投資するファンドには「信託報酬の低さ」はもちろんのこと、「純資産額の大きさ」も重要です。

純資産額の大きさは、ファンド運用の安定性に直結し、指数のトラッキングエラーや隠れコスト、最終的にはファンドの継続性にも影響を及ぼします。

ニッセイ・S米国株式500インデックスファンドの場合、信託報酬は現在のところ他を圧倒する低価格ですし、新NISAの対象商品にも選定されたことから、しっかりとした資金流入が得られて、純資産額は順調に成長すると予想されます。

上記の表の中で、現時点の純資産額が相対的に小さいのは、設定日が最も遅かったのが一つの要因でしょう。

そして、最大の要因は、おそらく「つみたて投信枠」の対象商品に選定されなかったことだと考えられます。

つみたて投信枠の指定インデックスは、金融庁が決めています。

2024年1月30日時点の指定インデックスは以下のとおりです。

  • TOPIX
  • 日経平均株価
  • JPX日経インデックス400
  • MSCI ACWI Index
  • FTSE Global All Cap Index
  • MSCI World Index
  • FTSE Developed All Cap Index
  • S&P500
  • CRSP U.S. Total Market Index
  • MSCI Emerging Markets Index
  • FTSE Emerging Index
  • FTSE RAFI Emerging Index

米国株式のみを投資対象としたインデックスは、S&P500とCRSP U.S. Total Market Index(楽天VTIなどの指数)の2つですね。

第3の米国株式指数として、ソラクティブGBS米国500指数が、つみたて投信枠の指定インデックスに選定されたら、業界最安値の信託報酬を誇るファンドとして資金流入が増加し、純資産額も拡大するでしょう。

そうなると、eMAXIS Slim S&P500より信託報酬が4割低いという、ニッセイ・S米国株式500インデックスファンドの最大の利点が活きてくると思います。

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