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NASDAQ100投資信託の比較|FANG+やSOXとの相違点

NASDAQ100投資信託の比較|FANG+やSOXとの相違点

NASDAQ100投資信託の信託報酬等を比較

NASDAQ100投資信託の信託報酬は、長らく0.4%台でした。

S&P500やオルカン(MSCI-ACWI)で、信託報酬0.1%以下の激しい競争が続いていたのとは対照的です。

この状況を変えてくれたのが、新NISA開始前に新規設定された、信託報酬0.2%台のSBI・インベスコQQQ・NASDAQ100、ニッセイNASDAQ100、楽天・NASDAQ100です。

これらに対抗するように、2024年6月13日からeMAXIS NASDAQ100の信託報酬が、0.440%から0.2035%に引き下げられました。

新NISAで人気の高いニッセイNASDAQ100と同値の信託報酬を設定してきたのです。

後発のニッセイNASDAQ100に純資産額を抜かれたことが、eMAXIS NASDAQ100信託報酬引き下げの原因になったのかもしれません。

この変化も踏まえた、2024年6月時点のNASDAQ100投資信託の銘柄を比較すると、以下の表のとおりです。

銘柄運用会社取扱大手
ネット証券
信託報酬

純資産額

(百万円)

運用
年数
iFreeNEXT
NASDAQ100
大和SBI
楽天
マネックス
auカブコム
0.495%134,2115年
eMAXIS NASDAQ100三菱UFJSBI
楽天
マネックス
auカブコム
0.2035%121,7573年
ニッセイNASDAQ100ニッセイSBI
楽天
マネックス
auカブコム
0.2035%181,6041年
SBI・インベスコQQQ・
NASDAQ100
SBISBI0.2388%4,4150年
楽天・NASDAQ100楽天楽天0.198%39,3010年

※ 上から運用年数(設定日)順に記載

なお、信託報酬の差が長期投資に及ぼす影響については、関連記事をご覧ください。

【新NISA】NASDAQ100投資信託の信託報酬シミュレーション
【新NISA】NASDAQ100投資信託の信託報酬シミュレーション

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信託報酬最安値の楽天、つみたて投資枠対応のiFree、総合力勝負のニッセイとeMAXIS

eMAXIS NASDAQ100が信託報酬を引き下げたとはいえ、最安値のファンドは楽天・NASDAQ100のままです。

楽天証券では、同ファンドに0.050%のポイント還元があるので、ポイント還元サービスが続く限り実質の信託報酬は0.148%となります。

他のファンドの追随を許さない破格の信託報酬なのですが、楽天証券でしか取り扱いがありません。

おそらく楽天としても、このファンド単体で収益を上げるというよりも、楽天証券・経済圏に加入してもらうことによる総合的な収益に期待して、この信託報酬を実現しているのでしょう。

一方、iFree NEXT NASDAQ100の強みは新NISAのつみたて投資枠で投資可能なことでしょう。

他のNASDAQ100投資信託が成長投資枠でしか投資できない中で、iFree NEXT NASDAQ100は、つみたて投資枠の採用基準(運用期間5年以上など)を満足しています。

このため、信託報酬が後発ファンドに比べて高くても、大きな純資産額を維持・成長させています。

しかし、あと2年で運用期間5年以上になるeMAXIS NASDAQ100が、このたび信託報酬を引き下げたことで、iFreeも近いうちに引き下げる可能性はあります。

引き下げるならば、唯一のつみたて投資枠対応ファンドの座にあるうちでしょうか。

信託報酬が安く、取扱証券会社数が多いニッセイNASDAQ100は、純資産額でトップに立ちました。

このまま、S&P500におけるeMAXIS Slimのように、NASDAQ100におけるニッセイと圧倒的な存在になるかと思われましたが、eMAXIS NASDAQ100が信託報酬を同値に引き下げたことによって、二強構造に可能性も出てきました。

現在純資産額トップのニッセイも、このままでは先につみたて投資枠に採用されるであろうeMAXIS Slimに逆転を許すかもしれませんので、信託報酬を引き下げるかもしれません。

ただし、米国ETFのQQQの経費率が0.2%、その廉価版とも言えるQQQMの経費率が0.15%ということを考えると、引き下げても楽天・NASDAQ100と同程度の信託報酬が限界と思われます。

このように、日本のNASDAQ100投資信託の信託報酬は、本場米国ETFの経費率と遜色ない水準に達しており、コスト面でも安心して長期投資できる投資商品になりました。

NASDAQ100、FANG+、SOXの組入上位銘柄を比較

新NISA開始当初から、米国ハイテク株が絶好調です。

そのため、NASDAQ100だけではなく、FANG+やSOXも新NISAの人気投資先となってきました。

コロナショックからの回復期に米国ハイテク株が急上昇していた頃は、NASDAQ100とレバレッジNASDAQ100(レバナス)がよく比較されていたのを思い出しますが、新NISAではレバレッジ商品は除外されていますので、ハイリターンを求める熱量がFANG+やSOXに向かったのかもしれません。

NASDAQ100、FANG+、SOXの組入上位銘柄は以下の表のとおりです。

NASDAQ100FANG+SOX
MICROSOFT(8.2%)ALPHABET(9.8%)NVIDIA(11.1%)
APPLE (6.9%)BROADCOM(9.6%)AMD(8.6%)
NVIDIA(5.9%)TESLA(9.5%)BROADCOM(8.2%)
AMAZON(4.9%)AMAZON(9.3%)QUALCOMM(7.4%)
ALPHABET(4.6%)MICROSOFT(9.2%)INTEL(5.7%)
META(4.5%)APPLE(9.1%)MICRON(4.4%)
BROADCOM(4.2%)NETFLIX(9.1%)ASML(4.1%)
TESLA(2,2%)SNOWFLAKE(9.1%)TSMC(4.0%)
COSTCO(2.2%)NVIDIA(9.1%)APPLIED MATERIALS(4.0%)
ADOBE(2.2%)META(8.9%)LAM RESEARCH(3.9%)

FANG+はビッグテックの組入比率がNASDAQ100より高い

ご覧のとおり、両指数の組入上位銘柄重複率はかなり高いです。

ただし、銘柄の組入比率は異なっています。

これは、NASDAQ100が時価総額加重平均で比率を決めているのに対し、FANG+が組入銘柄に対して等ウエート投資して比率を決めているからです。

時価総額加重平均のNASDAQ100指数は、企業の時価総額の変化に応じて組入比率が自動で変わりますが、10銘柄への等ウエート投資であるFANG+指数は、企業成績を見極めて銘柄入替が行われるか否かが、好成績を持続する上で重要となります。

FANG+の素晴らしいのはこの銘柄入替で、これまでアリババ、バイドゥを除外して米国企業を組入たり、業績不振のツイッターを除外してマイクロソフトを組み入れるなど、銘柄入替の都度に成功を収めてきました。

【新NISA】ハイテク10銘柄「FANG+」は構成銘柄入替が優秀
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今後もGAFAMの天下が続くのであれば、銘柄入替能力の高いFANG+が、NASDAQ100をアウトパフォームし続けると思います。

しかし、「米国企業の上位10社 ≒ FANG+」であるうちは大丈夫ですが、過去を振り返ると必ずしもハイテク企業が上位10社を占めていたわけではありません。

S&P500の組入銘柄上位10社の推移は、以下の表のとおりです。

 1990年1995年2000年2005年2010年2015年
IBM GEGEGEエクソン
モービル
アップル
エクソン
モービル
AT&Tエクソン
モービル
エクソン
モービル
アップルマイクロソフト
GEエクソン
モービル
ファイザーシティグループマイクロソフトエクソン
モービル
アルトリア・
グループ
コカ・コーラシスコ
システムズ
マイクロソフトGEGE
ロイヤルダッチ
シェル
メルクシティグループP&GシェブロンJ&J
ブリストル・
マイヤーズ
アルトリア・
グループ
ウォルマート・
ストアーズ
バンク・オブ・
アメリカ
IBMアマゾン
メルクロイヤルダッチ
シェル
マイクロソフトJ&JP&Gウェルズ・
ファーゴ
ウォルマートP&GAIGAIGAT&Tバークシャー・
ハサウェイ
AT&TJ&JメルクファイザーJ&JJPモルガン・
チェース
10コカ・コーラIBMインテルアルトリア・
グループ
JPモルガン・
チェース
フェイスブック

ここ数年は「S&P500の成績はGAFAM5社の成績次第であり、残りS&P495は関係ない」という極論を聞くこともあります。

時価総額加重平均なので組入上位銘柄の成績寄与度が大きいことは間違いありませんが、それが今後もGAFAMであるかどうかはわからないのです。

FANG+も、文字通りFacebook・Amazon・NETFLIX・Googleの枠を超えて銘柄入替するわけにはいかないでしょうから、長期トレンド推移への対応力という事になると、NASDAQ100の方に分があるかもしれません

加えて、FANG+の信託報酬の高さ(0.7755%)は、長期保有するなら、やはり気になります。

FANG+は大和アセットマネジメントしか投資信託を販売していないので、NASDAQ100のような競争原理が働かないのかもしれません。

他の運用会社からもFANG+が出ると面白いですね。

半導体に特化したSOXはAIブームを勢いを享受

新NISA開始以降、生成AIブームを支えるエヌビディアなどの半導体企業の組入比率が相対的に大きいSOXが、NASDAQ100をアウトパフォームしています。

この状況が続くのであればFANG+一択ですが、市場は動き続けます。

半導体業界には、半導体サイクルと呼ばれる構造的な景気循環があり、これまでの歴史から約4年程度で好況と不況を繰り返しています。

とはいえ、これは過去のデータであって、生成AIブームが産業革命に匹敵する劇的やつ持続的変革をもたらせば、半導体は今後も質・量ともに需要が拡大するかもしれません。

一方、SOXの投資信託の信託報酬は、一例として楽天SOXの場合で0.176%と、FANG+より大幅に低コストで、NASDAQ100よりも低コストとなっています。

半導体サイクルは長期的には右肩上がりですし、AIブームは多方面に活用され長期持続する可能性があり、ファンドの信託報酬もNASDAQ100やFANG+より低コストとなれば、新NISAのつみたて投資に向いているインデックスかもしれませんね。

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