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ツミレバのブログ|レバナス積立投資のシミュレーションと検証結果

2023年9月6日

ツミレバのブログ|レバナス積立投資のシミュレーションと検証結果

レバナスとは

米国のNASDAQ市場の株式指数にレバレッジ(値動きを2倍3倍と大きくする仕組み)を掛けた投資信託等は、通称レバナスと呼ばれています。

NASDAQ市場は、ハイテク企業や新興企業といった景気敏感な企業が数多く上場しているので、その株価指数の値動きは激しいことで知られています。

元々値動きの激しいNASDAQ市場の株価指数をレバレッジ効果で倍にするレバナスは、コロナ禍の量的緩和政策で株価が急上昇していた2020年頃から大変注目を集めていました。

ドルコスト平均法とは

基準価格が日々値動きする投資信託等を、一定の金額で定期購入する方法のことをドルコスト平均法と呼びます。

投資信託等を一括購入ではなく、時間分散して定期購入することによって、基準価格が低い時の購入口数は多くなり、高い時の購入口数は少なくなります。

長期的な価格変動リスクを低減させるのに有効な方法です。

仮説:レバナスとドルコスト平均法はハイリターンが得られる最強の組み合わせ

レバナスは価格変動リスクが極めて大きく、株価上昇局面ではS&P500等を圧倒する値動きを示しますが、下落局面では逆に絶望的な値動きを示します。

ただ、NASDAQ市場の株価指数そのものは長期的には右肩上がりですので、下落局面を耐え抜けば、いずれ上昇に転ずるはずです。

ドルコスト平均法は、下落局面で大量の口数を購入でき、上昇局面ではその時の購入口数は少ないものの、下落時に低価格で大量購入した口数が一斉に価格上昇します。

もちろん、その逆パターンもあります。

レバナスとドルコスト平均法を組み合わせることは、価格変動のアクセルとブレーキを同時に踏んで相殺することにしかならないのか、それとも激しい値動きと下落時の大量購入を活かしてハイリターンを得る最強の組み合わせなのか、バックテストでは満足できなかったので、実際に検証してみました。

実証:レバナスとドルコスト平均法の相乗効果を実感できず

検証期間は2021年冬~2023年夏の1年半。前半は米国の利上げショックでNASDAQ市場が下落局面に入り、後半は利上げ停止予測から上昇局面に戻った、極めて値動きの大きい期間でした。

投資対象銘柄は楽天レバナス、ちょうど2021年11月に発売されたファンドです。

為替ヘッジ有のファンドなので、この時期のドル円為替変動はキャンセルしています。

検証結果は表のとおりです。

ツミレバのブログ|レバナス積立投資のシミュレーションと検証結果

2021年11月15日購入時には、単価=平均取得価格=10,000円であったのが、その後下落が続き、2022年12月には、単価=3,942円と60%下落しました。

2023年8月で単価6,268円まで戻してきましたがまだ40%下落。

しかし、毎月3万円(2021年11月だけズレてます)ずつドルコスト平均法で積み立ててきたおかげで、下落時に多めに口数を購入できた結果、2023年5月で「平均取得価格 > 単価」となり、黒字に転じたのです。

とはいえ、2023年に入ってハイテク株が上昇局面を迎えた中、レバナスは前年の下落で単価が半額以下になっていたため、2倍レバレッジの効果をあまり感じない値動きにとどまっています。

考察:レバレッジ効果と逓減リスク

仮説どおりの検証結果が得られなかった原因として、レバレッジファンド特有の逓減リスクが考えられます。

検証期間中は一気に50%程下落した後、長らく横ばいが続きました。

この横ばいの上昇・下落を繰り返しているうちに価格がどんどん減っていくことを逓減リスクと呼びます。

検証当初の急激で2倍レバレッジの効いた下落と、長く続いた逓減で単価が下がりすぎてしまい、その後の上昇局面で下がりすぎた単価に2倍レバレッジを掛け続けても価格上昇には限界があり、むしろ下落幅が相対的に小さかったS&P500連動ファンドの方が価格の戻りが速いという結果になりました。

もちろん、検証期間が1年半ではなくもっと長ければレバナスの上昇力がS&P500連動ファンドを上回る場面があったかもしれません。

しかし、1年半かそれ以上にわたってS&P500連動ファンドをアンダーパフォームしたのは事実ですし、この間の年利はマイナスです。

レバナスの評価は投資目的によって異なるでしょうが、当サイトでは退職金運用で安定して4%定率取崩しすることを目的としているので、レバナスはちょっと厳しいと感じました。

若くて元手の少ない頃、S&P500連動ファンドを地道に積み立てていくだけではモチベーションを維持できないというような際には、サテライトとしてレバナスを持っておくことは夢があっていいなと思います。

追記:2024年はレバナスが上昇してきました

レバナスの値動きは、上記のように下落するときは大きいですし、回復にも時間がかかりますが、ひとたび上昇に転じた時の爆発力は凄まじいです。

本記事の後も、ツミレバを継続した運用実績は以下の記事のとおりです。

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2024年以降の米国の利下げ予測を受けて、レバナスは再び人気が出てきそうですね。

しかし、調子が悪い時には大きく下落し、なかなか回復しないリスクがあることも、理解したうえで、レバレッジ効果を上手に活用しましょう。

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