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全世界株価指数:FTSE-GACIとMSCI-ACWIの相違点
全世界株式を投資対象とした代表的な指数には
- FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE-GACI)
- MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI-ACWI)
以上2つがあります。
FTSEが大~小型株までカバー(約9000銘柄)しているのに対し、MSCIは大・中型株(約3000銘柄)を投資対象としています。
両指数の組入上位銘柄は表のとおりです。
FTSE-GACI | MSCI-ACWI |
Microsoft Corp.(3.9%) | Microsoft Corp.(3.9%) |
Apple Inc.(3.3%) | Apple Inc.(3.3%) |
NVIDIA Corp.(2.4%) | NVIDIA Corp.(2.9%) |
Amazon.com Inc.(2.0%) | Amazon.com Inc.(2.2%) |
Meta Platforms Inc.(1.4%) | Meta Platforms Inc.(1.4%) |
Alphabet Inc. Class A(1.0%) | Alphabet Inc. Class A(1.2%) |
Alphabet Inc. Class C(0.9%) | Alphabet Inc. Class C(1.0%) |
Eli Lilly & Co.(0.8%) | Eli Lilly & Co.(0.8%) |
このように、ほとんど違いはありません。
わずかに、MSCI-ACWIの方が、上位銘柄の比率が大きいくらいです。
これは、FTSE-GASIは小型株が含まれており、MSCI-ACWIは小型株が含まれていないためです。
両指数とも時価総額加重平均であるため小型株の寄与度は低く、過去のチャートにおいてリターンの差はほどんどありません。
一方、ファンドの信託報酬となれば差が出てきます。
FTSE-GACIを採用する日本の投資信託(例:楽天VT、SBI・全世界株式)は、バンガード社のVTを投資先とすることで約9000銘柄をカバーしていますので、構造的にVTの経費率が上乗せされることになります。
MSCI-ACWIを採用する日本の投資信託(例:eMAXIS Slim 全世界株式、楽天・オールカントリー)は、相対的に低い信託報酬を実現しています。
新NISAで資金流入が多いオルカン系投資信託は、信託報酬の低いMSCI-ACWIを採用する投資信託となっています。
オルカン指数(MSCI-ACWI)投資信託の銘柄比較
2024年5月時点のオルカン系投資信託(MSCI-ACWI)の銘柄を、以下の表で比較しました。
銘柄 | 運用会社 | 取扱大手 ネット証券 | 信託報酬 | 純資産額 (百万円) | 運用 年数 |
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | 三菱UFJ | SBI 楽天 マネックス auカブコム | 0.05775% | 3,919,825 | 5年 |
たわらノーロード 全世界株式 | アセマネOne | SBI 楽天 マネックス auカブコム | 0.1133% | 57,411 | 5年 |
Tracers MSCI オール・カントリー (全世界株式) | 日興 | SBI 楽天 マネックス auカブコム | 0.05775% | 4,322 | 1年 |
はじめてのNISA・ 全世界株式 (オール・カントリー) | 野村 | SBI 楽天 マネックス auカブコム | 0.05775% | 24,117 | 1年 |
楽天・ オールカントリー | 楽天 | 楽天 | 0.0561% | 188,711 | 0年 |
※ 上から運用年数(設定日)順に記載
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):投資信託への資金流入ランキングでトップ
2023年8月以前、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は0.11330%と、たわらノーロード全世界株式と同水準でした。
しかし、後発のTracers MSCIオール・カントリー(全世界株式)とはじめてのNISA・全世界株式(オール・カントリー)が信託報酬0.05775%を設定してくると、2023年9月にeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は信託報酬を0.05775%へ引き下げました。
高い信託報酬のまま取り残された、たわらノーロード全世界株式の純資産額は伸びが鈍化し、低い信託報酬を新規設定して純資産額を一気に増やすはずだったTracers MSCIオール・カントリー(全世界株式)とはじめてのNISA・全世界株式(オール・カントリー)の勢いは失速してしまいました。
その結果、新NISA開始後の投資信託への資金流入ランキングは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が、S&P500連動の投資信託などを抑えて、断トツ首位でした。
また、指数が同じオルカン系投資信託の中でも、2番手の楽天・オールカントリーは16位でしたから、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の人気への資金流入が圧倒的であったことが分かります。
※ 日本経済新聞から引用
楽天オールカントリー:iDeCo対象商品となり資金流入が加速
運用0年の後発オルカンファンドの中では、楽天・オールカントリーへの資金流入が最も大きかったです。
楽天・オールカントリーは、2024年1月26日からiDeCo対象商品に追加されました。
楽天S&P500と楽天オルカンはiDeCo対象商品に追加されるか
Contents楽天S&P500と楽天オルカンが新登場楽天投信残高ポイントプログラムが限定復活低コストファンドが揃うS&P500系とオルカン系投資信託楽天S&P500と楽天オル ...
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これにより、後発オルカンファンドの弱点である純資産額の少なさが、楽天・オールカントリーに関しては解決されていくと思います。
理由は、楽天証券iDeCoにおいて、指数は違いますが同じオルカンファンドである楽天VTから楽天・オールカントリーへのスイッチングが予想されるからです。
楽天VTはもちろん人気の高いファンドなのですが、いかんせん信託報酬が割高(0.192%)なので、楽天・オールカントリーへのスイッチングが加速するでしょう。
iDeCoは、スイッチングの操作が簡単なのも追い風ですね。
純資産額が増えると、隠れコストも相当に抑制できるでしょう。
しかし、改良して欲しい点もあります。
それは、現在は楽天証券でしか取り扱いが無いことです。
もちろん、このファンド設定の当初目的が、新NISA開始に伴う楽天証券(楽天経済圏)ユーザーの確保・増加にあったことは、それで良いと思います。
しかし、2024年2月となり、新NISAが開始して2か月近く経過しました。
NISAは1度でも取引があると、その年は証券会社変更はできないため、当初目的はある程度達成されたのではないでしょうか。
次は、他の証券会社での取り扱いを実現して、ファンド投資家への還元(隠れコスト抑制、トラッキング精度向上、さらなるコスト低減)に挑戦して欲しいと思います。
MSCI-ACWI(オルカン指数)の銘柄入替で中国減少&インド増加
2024年2月29日にMSCI-ACWI指数の組入銘柄が実施されることになりました。
MSCI-ACWI指数は、時価総額加重平均を採用しているので、企業の時価総額の増減に応じて、定期的に銘柄入替が行われることになります。
しかし、今回の銘柄入替は大きく報道されました。
理由は、単なる企業業績や業種の盛衰という域を超えて、景気減速が顕著な中国企業66社が除外され、経済成長が著しいインド企業5社が追加されるという、最近の国際情勢を象徴するような銘柄入替があったたからです。
上記グラフはMSCIの新興国市場指数を引用したものですが、中国が2020年後半をピークに減少傾向であるのに対し、インドは同じく2020年後半から上昇傾向となっていることが明確ですね。
中国株に投資している方にとっては、今後の動向が心配なところだと思います。
全世界株に投資している方は、何もせずともこのように定期的に銘柄入替してくれるので、安心ですね。
特に新NISAやiDeCoのような、長期保有を想定した制度での投資対象には、全世界株投資信託が適していることが良くわかる事例でした。