資産運用

楽天S&P500・オルカン・日経225・先進国を競合ファンドと比較

2023年12月11日

楽天S&P500・オルカン・日経225・先進国を競合ファンドと比較

楽天プラスシリーズ(楽天S&P500・楽天オルカン・楽天日経225・楽天先進国株式)が新登場

2023年10月27日に「楽天・S&P500インデックス・ファンド」(楽天S&P500)と「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」(楽天オルカン)の2商品が設定されました。

設定当初から業界最低水準の信託報酬でしたが、同年12月1日から信託報酬が値下げされて業界最安値となりました。

さらに同年12月22日に「楽天・日経225インデックス・ファンド」(楽天日経225)と「楽天・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド」(楽天先進国株式)の2商品が設定されました。

以上4商品で構成される楽天プラス・シリーズの特長は信託報酬の低さです。

以前から設定されていた楽天VTや楽天VTIなどは、設定当初は業界最低水準の信託報酬であったものの、その後にeMAXIS SlimシリーズやSBI・Vシリーズなどが設定され、今となっては相対的に高めの信託報酬となっていました。

しかし、今回設定された楽天プラス・シリーズは、eMAXIS Slimシリーズのように「他社類似ファンドが引き下げを行った場合、当ファンドの信託報酬率も見直しを行い、業界最低水準にすることを目指します」と明記しているので、楽天VTや楽天VTIのように設定当初の信託報酬のまま取り残されるといった事態にはならないと考えられます。

ファンド信託報酬
楽天S&P5000.077%
楽天オルカン0.0561%
楽天日経2250.132%
楽天先進国株式0.088%

楽天プラスシリーズとライバルファンドの比較

新NISA開始前年となる2023年は、人気インデックスであるS&P500とオルカン向けに、信託報酬が低く設定されたファンドが相次いで登場しました。

また、楽天プラスシリーズは、S&P500やオルカンに次ぐ人気インデックスである日経225や先進国株式(除く日本)向けにも、信託報酬を低く設定したファンドを設定してきました。

この競争の結果、人気インデックス(S&P500、オルカン、日経225、先進国株式(除く日本))の信託報酬は、他のインデックスファンドとは比較にならないくらい熾烈な低コスト競争が繰り広げられたのです。

S&P500ファンドの比較

ファンド運用会社信託報酬純資産額

(百万円)

運用
年数
eMAXIS Slim
S&P500
三菱UFJ0.09372%2,856,6285年
SBI・V・
S&P500
SBI0.0938%1,181,1354年
たわらノーロード
S&P500
アセマネOne0.09372%3,6580年
はじめての
NISA・S&P500
野村0.09372%8060年
楽天S&P500楽天0.077%7,8730年

オルカン ファンド(MSCI ACWI)の比較

ファンド運用会社信託報酬純資産額

(百万円)

運用
年数
eMAXIS Slim
全世界株式
三菱UFJ0.05775%1,684,6315年
Tracers MSCI
オールカントリー
日興0.05775%2,0480年
はじめての
NISA・全世界株式
野村0.05775%1,3290年
楽天オルカン楽天0.0561%5,0530年

日経225ファンドの比較

ファンド運用会社信託報酬純資産額

(百万円)

運用
年数
たわらノーロード
日経225
アセマネOne0.143%111,1458年
ニッセイ
日経平均
ニッセイ0.143%62,0777年
eMAXIS Slim
国内株式(日経)
三菱UFJ0.143%44,0865年
SBI・iシェアーズ・
日経225
SBI0.1133%6910年
楽天日経225楽天0.132%0年

先進国株式(除く日本)ファンド(MSCI Kokusai)の比較

ファンド運用会社信託報酬純資産額

(百万円)

運用
年数
ニッセイ
外国株式
三菱UFJ0.09889%575,9389年
たわらノーロード
先進国株式
アセマネOne0.09889%404,6307年
eMAXIS Slim
先進国株式
野村0.09889%559,6176年
楽天先進国株式楽天0.088%0年

新NISAの開始を前にして、楽天S&P500と楽天オルカンの純資産額が際立って大きくなりました。

同様にeMAXIS Slimシリーズの純資産額も大きくなっています。

ネット証券大手の楽天とSBIのユーザーがそれぞれのファンドをターゲットに投資を加速している可能性があります。

個人的には楽天ユーザーの投資先がもっとeMAXIS Slimシリーズの方へ分散すると思ったのですが、投信残高ポイントプログラムの影響も大きかったのか、楽天プラスシリーズの方へ資金流入が進んでいるようです。

楽天日経225と楽天先進国株式の設定はこれからですが、同一インデックスにおける信託報酬の低さが日経225で第2位、先進国株式(除く日本)で第1位ということもあり、先発ファンドに負けず純資産額を着々と伸ばしていくことが予想されます。

楽天証券iDeCo内の同種ファンドとの比較

楽天S&P500と楽天オルカンの信託報酬は最低水準に設定されていますが、新NISAでは同水準のライバルファンドが多く、後発ゆえに純資産額勝負になると追いつくことは難しそうです。

一方、楽天証券iDeCoの対象ファンドと比較すると、楽天S&P500と楽天オルカンの信託報酬は圧倒的に優勢です。

また、日経225や先進国株式(除く日本)といった人気インデックスは、現状アセマネOneのファンドが対象商品となっています。

今回設定された楽天プラスシリーズと、楽天証券iDeCo内の同種ファンドの信託報酬を比較すると以下のようになります。

ファンド楽天証券iDeCo内の同種ファンド名
(信託報酬)
現在のiDeCo対象商品楽天プラスシリーズ
米国株式楽天VTI
(0.1617%)
楽天S&P500
(0.077%)
全世界株式楽天VT
(0.1914%)
楽天オルカン
(0.0561%)
日経225たわらノーロード
日経225
(0.143%)
楽天日経225
(0.132%)
先進国株式
(除く日本)
たわらノーロード
先進国株式
(0.09889%)
楽天先進国株式
(0.088%)

楽天S&P500と楽天VTI、楽天VTと楽天オルカンには、信託報酬にかなり差があります。

楽天プラスシリーズをiDeCo対象商品に追加したならば、他証券iDeCoからの新規ユーザー獲得はもちろん、楽天VTIや楽天VTを運用中の既存ユーザーも商品をスイッチングすることが予想されます。

その結果、楽天S&P500と楽天オルカンの弱点である純資産額の早期拡大が期待できるでしょう。

楽天側からすると楽天VTIや楽天VTとの共食いになってしまいますが、これらのファンドの信託報酬は設定当初は格安でしたが現在では相対的に割高です。

このままだといずれ他社ファンドや他証券iDeCoへ顧客流出する可能性もあるため、楽天S&P500と楽天オルカンのiDeCo追加はあり得ると思っています。

楽天日経225と楽天先進国株式については、たわらノーロードシリーズの信託報酬と大きな差はありません。

しかし、これは他社ファンドとの競争になるので、楽天ファンド同士の共食いにはなりませんし、ここでの競争に勝つことになれば、純資産額の成果はiDeCoから新NISAへフィードバックされます。

新NISAへの切り札として設定されたであろう楽天プラスシリーズ。

信託報酬は申し分なし。投信保有残高に応じたポイント還元もある。

不足しているのは、純資産額がもたらすファンドへの安心感。iDeCo対象商品に追加して、早期に純資産額を拡大できれば、先発ファンドに対抗できるかもしれません。

もちろん、先発ファンドも純資産額が大きくファンド体力が優越しているうちに対抗策を講じてくることが予想されます。

これからも各証券会社・各ファンドが、ハイレベルな競争で新NISAやiDeCoを盛り上げて欲しいところです。

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