資産運用

【金融所得課税強化】配当金増税&社会保険料負担増への対策

2023年12月23日

配当金増税|2024年からの課税強化&社会保険料負担増への対策

2024年から配当金がステルス増税されます

最近なにかと多いステルス増税。

堂々と増税しますといわれても嫌ですけど、今まで同じことをしていているだけなのにしれっと増税されているというのは余計に腹が立つものです。

当ブログでもブラケットクリープ(所得税のステルス増税)など、いくつか紹介してきました。

今回は、配当金のステルス増税について紹介します。

配当金に対する課税方法は、次の3つの中から選択することができます。

課税方法確定申告の方法所得税住民税配当控除
総合課税他の所得と総合して確定申告5~45%10%有り
申告分離課税他の所得と分離して確定申告15%5%無し
源泉所得課税不要(源泉徴収で納税)15%5%無し

ここで注目してほしいのは、所得税と住民税の税率です。

2023年までは、所得税と住民税を異なる課税方法を選択して納税することができました。

課税所得900万円以下の場合は、

  • 所得税:累進課税を低減できて配当控除をメリットを活かせる「総合課税」を選択
  • 住民税:総合課税の10%から配当控除2.8%を引いても7.2%にしかならないため、税率が5%である「源泉所得課税」を選択

このような課税方法を選択することが可能でした。

しかし、2024年からは所得税と住民税を同じ課税方法で納税しなければならなくなりました。

具体的には、課税所得695万円以上の場合は、総合課税を選択すると配当控除のメリットよりも住民税が10%になるデメリットの方が大きくなるため、「申告分離課税」を選択した方が有利になります。

695万円以下の場合は「総合課税」を選択した方が有利となります。

有利になるといっても、いずれのケースでも従来より高い税率が課せられることになるのです。

一例として課税所得695万円以下で「総合課税」を選択した場合でも、住民税が2.2%増税されます。

配当金増税により国民健康保険料も上がります

国民健康保険料は住民税の課税所得から計算されます。

これまで配当金に関する住民税の課税方法を「源泉所得課税」としていた課税所得900万円以下の人が、2024年以降の配当金増税に伴い「総合課税」を選択するようになると、住民税の課税所得が計算上増えることになります。

この住民税の課税所得増加により、これを課税計算の根拠とする国民健康保険料が上がるという、国民からすると搾取の連鎖が発生するのです。

それでは総合課税ではなく申告分離課税を選ぶ人も出てきそうですが、なんと申告分離課税に対しても国民健康保険料の負担を求めるという検討がなされています。

なんかもう、執念のようなものを感じますよね。

国民は限られた収入の中で一生懸命にライフプランを立てて生活・育児・教育費等を捻出しているのですから、いくら先の読みにくい国内外情勢とはいえ、ライフプラン検討の前提である税金や社会保険料の制度を毎年変えられてしまっては困りますね。

配当金増税への対策

新NISAの活用

新NISAでは、S&P500やNASDAQ100ファンド等に投資して資産形成を狙う人が多いかと思いますが、もし運用目的が将来へ向けての資産形成ではなく現在の生活費を得るための資産運用であるならば、高配当株に投資するのもおすすめです。

2023年以前であれば、高配当株は配当控除が得られる特定口座で運用し、配当控除が得られない新NISA口座では高配当株ではなく資産形成目的のインデックスファンドをと思っていたのですが、今回ご紹介した2024年以降の税制にあっては、高配当株を配当金非課税の新NISA口座で運用するメリットが大きくなりました。

配当控除は無いが高利回りの「米国上場高配当株」や「Jリート」に投資

米国上場高配当株やJリートには配当控除がありません。

したがって、課税方式で「申告分離課税」を選択して国民健康保険料を抑えるよう住民税5%とする方策が有利となります。

米国上場高配当株は、日本税に対する配当控除はありませんが、米国税(10%)に対する外国税額控除があります。

これは配当控除と異なり申告分離課税でも適用となるので、2024年以降の配当金増税を受けて、米国上場高配当株は相対的に投資価値が向上しました。

【新NISA】投資信託・東証上場米国ETF・米国上場ETFを比較
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Jリートの収益分配金は法人税を支払う前の利益なので、二重課税とはならないことから配当控除はありません。

しかしその分、株式に比べて利回りが高い傾向があり、さらに2024年以降の配当金増税の影響を受けないことから、Jリートも相対的に投資価値が向上しました。

課税所得を減らす

課税所得を減らすことは最も有効な増税対策ですので、ありとあらゆる制度を駆使ししましょう。

ふるさと納税は、最近返礼品等に関する規制が厳しくなりましたが、課税所得を減らすという点では引き続き有効な手段です。

iDeCoについても、最近新NISAと比較して制限が多いことから話題に上ることが少なくなってきましたが、所得控除という新NISAではできない節税メリットを有しているため、特に所得が大きい人にはおすすめです。

もし個人事業主や法人事業を営むことが可能な人には、税制・社会保障制度が毎年のように負担増となっていくことが予想されるこれからの日本、副業等でもぜひ開業にチャレンジして、経費等でどんどん課税所得を減らせる仕組みを構築してみてはいかがでしょうか。

人生の自由度が格段に向上すること間違いなしです。

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