駅間無停車時間の事前調査と回避行動
一昨年の年末年始から再び飛行機に乗れなくなっている私は、折からのコロナ禍で出張そのものが激減したため顕在化していなかったが、徐々に電車も苦手になり始めていることを感じていた。
こうなると、慣れた経路であっても、どうしても駅間時間を調べてしまう。
普段使う経路で、一番長い駅間時間は10分。10分も電車の中に閉じ込められて脱出できない。
耐えられそうもない。
そして大幅に迂回する経路を選択した。
かりそめの安心の代償はトータル乗車時間が2時間半から3時間半へ増えたこと。
しかし今の私にとって駅間無停車時間が問題で、トータル時間はどうでもよかった。
これで収まればよかった(あまりよくないが)のだが、回避行動はどんどん進行していく。
内心、悪化することは過去の経験でわかってはいたのだが。
パニック発作の都度、エスカレートする回避行動
症状はエスカレートして、1駅5分間が乗れなくなった。
1駅なのでこれ以上小刻みにしようもない。
一昨年の年末年始の飛行機の時と同様、乗っている途中で不安になる(従前は乗るまでが不安で、発車したら大丈夫だった)というパニックに襲われ、恐怖を学習してしまった。
電車に乗れなくなったので、路線バスを使うようになった。
1時間に1本しかない路線バスなので、乗車時間だけではなく待ち時間も長くなった。
日常が、どんどん不自由になっていく。
また20年前、初めてパニック発作を起こした時の自分に逆戻りだ。
少なくとも、乗り物の部分に関しては、見事なまでに振出しに戻ってしまった。
恒常的なうつ状態が無い事だけは救いだが、こんな日常が続けば、こちらも時間の問題かもしれない。
20年続けた認知行動療法は無意味だったのか
一度は克服した、という記憶だけでは全く戦えないのだ。
また20年かけて乗車・飛行機トレーニングをやり直すのか。
2度目の克服を成し遂げたとして、それに再現性・恒久性は本当にあるのか。
トレーニングによる克服に意味があるのであれば、自分の今の惨状はどう説明できるのだ。
半ば救いを求めるように、自分のような症状を経験した人はほかにいないのだろうかと調べてみた。
あった。谷崎潤一郎の「恐怖」。
文豪ともなれば、私が拙い言葉でしか形式知化できずに苦しんでいるこの症状を、見事に表現して下さるものだと感銘を受けた。
解決できるかどうかは別として、この症状に前例はあるのだ。
とにかく、このままでは日常生活に支障があるし、うつ病をぶり返す危険もある。
何年かかるかわからないが、またトレーニングを始めよう。
カウンセリングを受けようと思った。
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