新NISAの成長投資枠で米国高配当ETFを運用
新NISAの投資方針を検討した結果、つみたて投信枠ではS&P500連動の投資信託、成長投資枠で日本高配当ETF・米国高配当ETF・ADR銘柄を購入することにしました。(関連記事「新NISAはS&P500と日米の高配当ETFを組み合わせます」参照)
このうち、米国高配当ETFについては
- 高配当ETFとして有名な「VYM」「HDV」「SPYD」をコア
- 超高配当ETFとして有名な「JEPI」「PFFD」等をサテライト
以上のようなコア・サテライトの役割分担で投資して、ポートフォリオ全体の利回りをコア・サテライトの保有比率で調整しようと思っていました。
しかし、新NISAでは「JEPI」「PFFD」等が除外されてしまいました。このため、「VYM」「HDV」「SPYD」といった利回り4%前後の高配当ETFでポートフォリオを組むことにしました。
他方、この程度の利回りならば、米国債券ETFも視野に入ってくるので、今回から比較対象に含めることにしました。
米国高配当ETF及び債券ETFの実質利回り比較(2023.11)
米国高配当ETF及び債券ETFの2023年11月時点の実質利回り(利回りー経費率)を表にまとめました。比較のため、2023年10月の実質利回りを( )内に記載しています。
なお、利回りは米国税(10%)抜きで計算しています。非課税である日本高配当ETFの利回りと比較する際にはご注意ください。
コード | 実質利回り | 2018年初からの株価上昇率 | 5年平均利回り | 5年平均増配率 |
VYM | 3.21% (3.25%) | 19.88% (18.19%) | 3.22% | 6.29% |
HDV | 4.16% (4.27%) | 6.33% (7.48%) | 3.71% | 4.81% |
SPYD | 5.17% (5.27%) | ▲8.30% (▲9.93%) | 4.61% | 7.62% |
EDV | 4.07% | ▲43.48% | 3.38% | 9.70% |
VTIP | 3.83% | ▲3.28% | 3.31% | 65.90% |
※ 青太字は前月比上昇、赤太字は前月比低下
VYM、HDV、SPYDの中で、HDVのみ株価上昇率が少しだけ下がりました。HDVは他に比べてエネルギーセクターの比率が高いので、今月の中東情勢(原油下落)が影響したと思われますが、いざとなればHDVは銘柄入替の頻度も高いですし、気にするほどではないと考えます。
超長期米国債「EDV」と米国短期インフレ連動債「VTIP」
EDVは超長期米国債ETFであり、20~30年の米国債で運用されています。経費率は0.07%で、VYM(0.06%)、HDV(0.08%)、SPYD(0.07%)と同水準であり、非常に低く設定されています。分配は年4回となっています。
一般的に債券、それも米国債のような信用力が高い債券の値動きは、株式等に比べて安定的なのですが、EDVのような長期債になると値動きは大きくなります。特に金利に対する逆相関が強く反映され、米金利が上昇しはじめた2022年以降は大きく下落しています。上記表の「マイナス43.48%」が下落の激しさを示しています。
しかし、新NISAが始まる2024年以降は米金利引き下げの観測もあり、もしそうであれば絶好の買い場なのかもしれません。
VTIPは米国短期インフレ連動債ETFであり、5年未満の米国債(インフレ連動)で運用されています。経費率は0.06%と、非常に低く設定されています。分配は年4回となっています。
インフレ連動債は、物価上昇に連動して元本が増加するので、資産価値を維持することができるインフレに強い資産となります。2022年の米国金利上昇局面では、株式も債券も大きく下落する中で、相対的に下げ幅は小さく済んでいます。もちろん、逆にデフレになれば物価下落に連動して元本が減少するので、通常の債券に対して常に優れているというわけではありません。
「短期」かつ「インフレ連動」であるVTIPの最大のメリットは、インフレヘッジの安定性です。従来は、通常の債券やゴールドに対してインフレ連動債は長期的なリターンの大きさで劣後するとされてきましたが、これからの世界経済は比較的高いインフレ率のまま推移していくという観測もあります。もしVTIPが今後も4%前後の実質利回りを維持できるのであれば、ポートフォリオ組入銘柄の有料候補になりますね。
以上のように、同じ米国債でも相反する特色を持った両銘柄が新NISA対象商品に選ばれましたので、将来的な購入を視野に入れて、今後も比較を続けていきます。